プロフィール

院長 今井智子

資格

  • はり師(国家資格)2006年取得:第133559号
  • きゅう師(国家資格)2006年取得:第133386号
  • あん摩マッサージ指圧師(国家資格)2006年取得:第125709号

略歴

  • 1997年 京都市立芸術大学 音楽学部卒(弦楽専攻:バイオリン)
  • 2006年 神奈川衛生学園卒(東洋医療総合学科)
  • 神奈川衛生学園に在校中よりマッサージの仕事を開始。卒業後は神奈川や東京など関東圏のホテルや治療院などにて幅広い年齢層の方を対象に鍼灸、指圧、オイルマッサージの施術経験を積む。
  • 2007年 ハワイの知人宅に数か月ほど滞在し、縁あってハワイの東洋医学系専門学校にて日本の鍼、灸、指圧を紹介するレクチャーを行う。
  • ハワイのマッサージ学校を視察しに行った際、縁あってマッサージ店で仕事をすることになる。現地のアメリカ人や観光客にオイルマッサージをし、顧客満足度と引き換えにたくさんのチップを頂きチップ文化に感動する。
  • 2008~2014年 クルーズ船鍼師として、イギリス発祥のスパ運営会社Steinerと契約をし、豪華客船内の5ッ星スパにて、計6年ほど世界50ヶ国以上を周りながら、世界各国の乗船客を相手に鍼をする。急性・慢性痛に対する鍼や美容鍼など、延べ1万人以上の乗客相手に鍼の施術経験を積む。
豪華客船内の海の見える施術室
  • 5年間で鍼師として乗船した客船は、Carnival Elation, Carnival Spender, Norwegian Dawn, Norwegian Pearl, Norwegian Epic, Golden Princess, Coral Princess, Emerald Princess, Sun Princess(2回乗船)など。
  • 2014年 日本各地のホテルや高級旅館、治療院を転々としながら、さらに鍼灸マッサージの経験を積んでいく。
  • 2018~2019年 北京堂鍼灸の浅野周先生の元で、深層筋まで安全に刺鍼する方法を学ぶ。
  • 2020年 再度クルーズ船鍼師として働く。今度は別のスパ運営会社のCanyon Ranchと契約し、Celebrity Equinoxに乗船。
  • 2021年 両親に懇願され実家のある姫路に定住することとなり、Acure鍼灸院を開業。

私と鍼の物語

小さい頃から大の注射嫌いでお医者様を困らすような子供だったのですが、その自分が大人になって鍼師になり人に鍼を刺す仕事をするようになるとは人生不思議なものですね。

私が初めて鍼の施術を受けたのは、目の不自由な鍼師さんからでした。肩こりで鍼をすすめられ、痛くないと言われたのて試してみることにしました。確かにほぼ無痛で、鍼と注射針はぜんぜん違うものなんだなと感じました。ほんわかと温かくなって気持ちのよい施術だったので、鍼に対する恐怖心はその時に減った気がします。

その方は以前は全盲だったのに、鍼をしてもらってはじめて光が見えるようになったと話してくれました。お皿の柄が初めて見えた時の感動的なお話を聞いて、鍼ってすごいなぁと感心したものです。

次に鍼を経験したのは、ぎっくり腰になった時です。最初は整形外科で貰った痛み止めを飲んでいたのですが、薬が切れるとまた痛くなるので鍼を試してみることにしました。結果は大正解で、痛みがなくなったのをきっかけに鍼ってどうして効くのか興味を持つようになりました。29歳で会社員としての将来に不安を覚えていた頃で、その時に施術してくれた鍼の先生の勧めもあり、神奈川衛生学園に入学して鍼師を目指すことにしました。

貯金が全くなかったため、専門学生時代は経済的に苦労しました。鍼灸マッサージの専門学校ってとても高額なんですよね。奨学金を借りながら昼間は学校に通い、夜はマッサージの仕事をするという生活を3年間続け、卒業できた時は達成感で一杯でした。

専門学校では、解剖学、生理学、病理学などたくさんの西洋医学系の学科と、経絡や経穴(つぼ)の名称や位置、中医学理論などを勉強する東洋医学系の学科の授業に加えて、鍼、灸、指圧、あんま、オイルマッサージなどを学生同士でお互いに施術をし合う実技の授業があり、3年間とても充実した授業内容でした。クラスメイトは高校卒業したての子から上はシニア世代の方までと幅広く、3年間色んな経験をして楽しく過ごし、無事に免許を取得できたのは31歳の時でした。

専門学校ではたくさん勉強しましたが、実際に弟子入りして勉強したいと思うような鍼師の先生にはなかなか出会えませんでした。私のぎっくり腰を治して下さった先生の元では勉強ができなかったので、他に先生を見つけたかったのですが自分が納得できる鍼をしている先生にはなかなか出会えませんでした。

鍼の経験を積もうにも、なかなか鍼を実際に打たせてもらえる仕事先は見つかりませんでした。学生時代から続けて働いていた治療院ではマッサージのお客さんが主で、鍼の患者さんは滅多にいなかったので、経験を積むことも難しい状況でした。師事したい先生も見つからず、他のスタッフを捕まえては鍼を刺して経験を積んでいたのですが、ある日「医道の日本」という鍼灸マッサージ業界の専門雑誌を読んでいると、イギリスのスパ運営会社が豪華客船で働く船上鍼師を募集している求人広告を見つけました。

まだ自分の鍼の技術にはあまり自信がなかったのですが、どうしても豪華客船に乗って働きたくて、一か八か応募してみることにしました。その会社ではまだ日本人の鍼師を雇ったことがなかったようで、日本での面接時にはわざわざロンドンから面接官が訪れてきていました。英語での学科テストとインタビューがあったのですが、どうしても日本人の鍼師を欲しがっていたようで、今と比べて合格するのは比較的簡単だったのではないかと思います。その日の面接では10人以上いた応募者の中から6名が無事に採用されたのですが、運よくその中の一人に入ることができました。

船には日本人のクルーは一人も乗っていなかったので、とても珍しがられました。日本語は全く話せないし、船では英語が共通言語なので、嫌でも全て英語でコミュニケーションをとるしかありません。ただ英語が母国語でないクルーも多く、私のつたない英語にも我慢強く耳を傾けてくれたのと、業務で日常的に行っていた英語でのプレゼンテーションのおかげで英語力はどんどんアップしていきました。

船上鍼師の仕事には施術だけでなく、日常的に行う英語でのプレゼンテーションが含まれていました。人前で話すのは大の苦手で、しかも英語でなんて絶対にパスってところなのですが、船で働くためには避けて通れなかったので、一生懸命練習しました。

船上鍼師に必須の英語でのプレゼンテーション

船の生活は嫌なこともたくさんありましたが総じて楽しく、当初6カ月だった契約を結局10ヶ月まで延長し、第1回目の契約を終えました。

そのスパ運営会社とはその後も契約を更新し、結局6年近く年間の多くを船に乗って過ごすような生活をしていました。船上鍼師として、豪華客船に乗って世界各国の乗船客を相手に年間延べ2000回近くの鍼をし、多くの施術経験を積むことができました。

というわけで本格的な鍼の修行をする前にいきなり実地で経験を積んだ感じなのですが、マッサージの臨床経験は学生時代から5年ほどあったのと、自分自身がとても凝り性で、患者さんとしても経験も長く、肩こりや腰痛などの辛いポイントはよく分かっていたのが良かったのかなと思います。鍼の後にマッサージも少し加えたりして患者さんからの受けは良かったです。なかには毎日のように治療に来られる方もいらっしゃいました。

同じ船上スパ運営会社で働いている鍼師用にニュースレターが発行されていて、船での生活についてのアドバイスや治療のヒントなどの掲載とともに月間の売上ランキングが発表されるのですが、100隻以上の豪華客船で働いている鍼師の中で、トップ5に何度が入り、最高で2位の座を獲得することができました。結局1位にはなれなかったのが残念でしたが、英語が母国語の客船鍼師もたくさんいる中で、周りのクルーや患者さんに支持されそこまで頑張れたことが、今の私の自信になっています。

スパの皆と一緒の集合写真

クルーズ船で鍼の施術を受けに来られる方の主訴は様々で、最初はとくに英語力もままならなかったので患者さんとのコミュニケーションにも苦労しました。今まで施術したことがない症状で来られる患者さんも多かったので、施術方法に悩んでネットで色々と調べていた頃に見つけたのが、北京堂の浅野先生のホームページです。

もともと私は硬くなっている筋肉に鍼を刺し、その後マッサージで解してさらに血行を促すような鍼をしていました。ただ表面近くの凝りだけならいいのですが、深く刺すのは怖いので、問題の筋肉が奥深くにある場合には、十分な深さまで刺せていなかったのだと思います。そのような場合には、やはり鍼の効果もいまいちでした。

浅野先生の鍼理論は、硬くなっている深層筋までしっかりと刺鍼して緩め、血行を改善して治癒を促進する、という今まで自分がしていた施術の先をいくもので、解剖学的にアプローチする自分にとっては理解しやすい方法でした。ホームページを見つけた時には「やっと理想の先生に出会えた!いつかこの先生の元で勉強して深層筋まで安全に打てるようになりたい!」と思ったものです。

その後、クルーズ船での仕事を辞めて日本で働き始め、職場の同僚の知人の方から浅野先生をご紹介頂き、運よく浅野先生の元で勉強できる機会を頂きました。

実際に治療を拝見すると、浅野先生の治療は思った以上に鍼数が多く、深刺しで見ていると怖くなるような時もありました。ただ患者さんに直接話を伺ったり自分自身でも治療を受けてみると、先生の施術は辛いこともあるけれど、効果は抜群なのだと分かりました。患者さんは、痛い痛いと言いながらも効果を実感して通って来られます。

私は一回の施術で効果がはっきりと分かり、症状が治っていくのを実感できるような鍼を打ちたかったので、北京堂浅野式の技術を学ばせて頂きました。

Acure鍼灸院では、北京堂浅野式の鍼を基本とした施術をしています。ただ患者さんの症状やご希望に沿って、マッサージやその他の施術方法を組み合わせるメニューもご用意しています。